投資を行っているとお金の流れや社会の状況について学べることが多い反面、情報収集が大変!四六時中脳みそフル稼働です(笑)。
これから投資をはじめたいきたいと考えている方は、本業を持っている方がほとんどなので、そんなに情報収集や銘柄選択に時間をかけたくないものです。
そんなときよく紹介されるのが投資信託です。今回は投資信託について説明してきますね!
投資信託とは?
「投資信託」とは、自分自身では投資を行わず、投資のプロであるファンドマネージャーやアナリストに資産を預けて運用してもらうことをいいます。
投資のプロたちは、社会や経済の出来事をたえずウォッチしており、個人では知ることのできない分析結果やデータをもとに投資を行います。そのような投資のプロを「信じて託す」ため、投資信託というのです。
投資信託は4つのグループから構成されています。構成グループは「①お金を出す投資家」、「②投資信託商品販売会社(証券会社、銀行、郵便局などの金融機関)」、「③ファンドマネジャーを擁する投資信託商品運用会社」、「④販売会社(②)から引き渡されたお金を信託財産として管理する信託銀行」の4者です。
販売会社(②)はより多くの投資家(①)を募り、資金を集めたら信託銀行(④)に渡し、そのお金を運用会社(③)が運用して、利益を上げて、投資家に還元していくことを目指すのです。
ではなぜこのように3者の組織が協力し合う複雑なかたちをとるかというと、販売会社、運用会社、信託銀行のどこかが破綻しても別のどこかが補填して投資家の資産を保全することが法律で取り決められているからです。
投資信託のメリットは?
投資信託のメリットは主に4つあります。
- 専門家が運用する
- 少ない金額から投資できる
- 分散投資ができる
- 個人では投資できない国や金融商品に投資できる
専門家が運用する
投資信託の最大のメリットは「専門家が運用する」点にあります。実際に個人が株取引などで資産の増やそうとすると、市場や業界の動向研究にかなりの労力と時間をかけなければいけません。
株価のチェックも随時行う必要があります。投資に専念できる環境があればよいのですが、ほとんどの個人投資家は本業をもっており、常に株価や市場の動向を見守れるわけではありません。
そのため、個人投資家がプロの機関投資家に勝る運用成績を上げるのは本当に大変です。そこで、プロの機関投資家に委託して資産を運用してもらえるのが投資信託です。
投資信託では対象となる金融商品の市場や業界事情に詳しいファンドマネジャーやアナリストがその動向を常時注視しながら運用します。したがって、運用失敗のリスクが少なく、運用益が出やすいという特徴があります。
少ない金額から購入できる
「少ない金額から購入できる」というのも投資信託の大きなメリットです。株の投資では通常、最低でも数十万円の投資が必要になります(ミニ株でも1万円前後必要となります)。
一方、投資信託であれば、極端な例では100円で投資できるケースもあります。一口は少なくても多くの投資家からお金を集めることで大きな資金にして運用することができるのです。
分散投資ができる
投資信託は1口当たりの金額が安いので、手持ちの資産をいくつかの商品に分けて「分散投資ができる」のもメリットとして知られています。
さまざまな業界や会社の株式や債券などの資産を同時に複数個保有することで、リスクを軽減することにもなるのです。
個人では投資できない国や商品に投資できる
株式や債券というと、つい日本の企業や日本国債を思い浮かべてしまいますが、投資信託では投資対象がよりグローバルに広がります。
投資信託商品では、国内だけでなく、より成長が期待できる発展途上国の株式や不動産などにも投資できます。「個人では投資できない国や商品に投資できる」のです。もちろん、こうした海外商品の運用はもちろんその国に精通している専門家が担当しています。
投資信託のリスク・デメリットは?
投資信託にはメリットもありますが、デメリットもあります。
- 元本保証がない
- 運用コスト(手数料)がかかる
- 投資信託の中身がわかりにくい
- ファンドマネージャーの力量に左右される
元本保証がない
投資信託のリスクの一つとしては「元本保証がない」点が挙げられます。運用実績が上がらず購入した価格よりも値下がりして、売却時に損失をこうむる可能性があります。
とはいえ、これは株式投資を始め、ほとんどの金融商品に言えることです。元本保証がない商品を購入したいのであれば、銀行に資産を預ける方が良いでしょう。(銀行も利回りがあるという意味ではローリスク・ローリターンの金融商品と言えます。)
運用コスト(手数料)がかかる
資産運用・管理をファンドマネジャーや金融機関に委託するため、「運用コスト(手数料)がかかる」のは、投資信託の最大のデメリットと言えます。業界リサーチや金銭管理などの面倒な手続きを代行してくれている対価はどうしても求められるのです。
株取引に比べると投資信託では手数料が割高となっており、費用には、買い付け時にかかる「①買付手数料」、保有期間中に年率でかかる「②信託報酬」、売却時にかかる「③信託財産留保額」の3つが挙げられます。①は購入価格の0~3.5%程度、②は購入価格の0.1~3%程度、③はかからないものも多いのですが、高くても購入価格の0.5%程度が相場となっています。
投資信託の中身がわかりにくい
投資信託のデメリットとして「投資信託の中身がわかりにくい」という点も挙げられます。投資信託商品ではどのような株や債券、不動産などに投資しているかについて概要は示されますが、ファンドマネジャーが取り扱っている投資先は実際のところかなり複雑多岐になっており、実態が詳細まではわからない商品が数多く見られます。
ファンドマネージャーの力量に左右される
投資信託を運用するファンドマネージャーといえど、能力には差があります。業界で30年も生き抜いてきたマネージャーと経験年数3年のマネージャーでは運用能力も大きく異なるでしょう。
投資信託先のファンドマネージャーの能力が高い場合は、運用成績は上がりますが、そのように能力の高い方ほど他のファンドに引き抜かれることもあります。そうなると、能力の低いファンドマネージャーが資産を運用するリスクがあり、投資のリターンはマネージャーの力量にも左右されてしまいます。
実は投資信託を選ぶ際の一つのポイントは優秀なファンドマネージャーがいるということです。ただし、そのような優秀な方を抱えるファンドほど人件費がかかり、手数料が高くなってしまう傾向があります(笑)。
投資信託の現状は?
では実際に投資信託を利用している人はどのくらいの資金を使っているのでしょうか?さらに、投資信託を行った場合の平均利回りはどのくらいになるのでしょうか?
投資信託の保有残高は?
ソニー銀行の「みんなのファンド」で公開されているデータを見てみると、利用者の投資信託口座1口座あたりの平均残高は約179万円となっています。
利用者の保有残高の内訳をみると10万円未満が14.3%、10~50万円が26.3%、50~100万円が16.0%となっており、100万円未満の利用者が全体の5割以上を占めています。
一方で、利用者の構成比が最も高いのは100~500万円の33.0%で、実はこの価格帯が投資信託のコア層であることがうかがえます。また高額層の利用状況は500~1000万円未満が6.3%、1000万円以上が4.1%となっています。
年代別の保有残高は?
ソニー銀行の「みんなのファンド」で公開されているデータで年代別の1口座あたりの平均保有残高も紹介されています。
20歳未満が38万円、20歳代が80万円、30歳代が137万円、40歳代が180万円、50歳代が289万円、60歳代が357万円、70歳以上が419万円、というように高い年齢層ほど保有残高が高い傾向にあることが明確に示されています。
投資信託がシニア層の資産有用手段として注目されていることがわかります。一方で20代未満や20代からも投資信託で資金を入れている方が多いこともわかります。
一回当たりの購入金額は?
ソニー銀行の「みんなのファンド」で公開されているデータで投資信託1回あたりの購入金額も紹介されています。
1~5万円未満の購入が33.3%と最も多く、5~10万円が12.7%、10~50万円が25.2%、50~100万円が8.4%、100~500万円が14.8%、500~1000万円が2.6%、1000万円以上が3.1%となっています。
投資というと大きなお金が必要なイメージがありますが、投資信託の場合は低額からはじめられるため、少しの金額からはじめる人が多いようです。
投資信託の平均利回りは?
投資信託の主要インデックスの平均利回りを参考にすると、年間平均4~6%の利回りとなります。ただし、これは20~30年の長期投資をした場合の利回りです。短期投資では利回り20%を超えることもあれば、マイナスとなることもありますよ!
1年 | 5年 | 10年 | 20年 | |
日本株 日経平均株価 |
20.3% | 18% | 1.5% | -0.1% |
日本国債 NOMURA-BPI総合 |
-2.7% | 2% | 2.3% | 2.1% |
日本リート 東証REIT指数 |
-3.6% | 19.4% | 2.7% | |
先進国株 世界国際インデックス |
26.4% | 20.4% | 4.7% | 6.1% |
先進国国債 世界国債インデックス |
7.2% | 9.3% | 2.6% | 5% |
先進国リート S&PグローバルREIT指数 |
3.9% | 16.2% | 3.9% | 8.6% |
新興国株 マーケットインデックス |
35.4% | 12.6% | 1.6% | 5.6% |
新興国国債 JPモルガングローバル |
13% | 12% | 6.7% | 7.9% |
各資産クラスの平均値 (均等投資した場合) |
12.4% | 13.2% | 3.5% | 5% |
(2017年8月時点)
また、これらはインデックスファンドの平均になります。アクティブファンドではさらにハイリスクハイリターンとなります。
ただし、私は投資信託ならインデックスファンド一択だと思っています。詳しく知りたい方は以下の記事を参考にどうぞ。
投資信託のまとめ
投資信託はファンドマネジャーやアナリストというその分野のプロが目利きをしてくれる安心感がウリです。特に本業を持つ兼業投資家に好まれており、投資はしたいけど市場動向や銘柄研究には必要以上の時間をかけたくないという方が利用しています。
逆に、自分でじっくり時間をかけて研究分析をしたいという人なら、株やFXなどの金融商品が適しているかもしれません。また、特別に詳しい業界があるというその道のプロフェッショナルなら、その業界の将来を予想して集中投資を行う方が良いかもしれません。
自分自身で投資するにせよ、投資信託を利用するにせよ、自分の投資スタイルを明確にして取り組むことで豊かな投資生活を送ることができます。
これから投資をはじめたいという方は、投資をはじめるそもそもの理由を明確にすることによって投資スタンスが明確となっていきますよ。以下の記事も参考にどうぞ!
それではEnjoy Yourself!