インターネットが普及した現在では様々な決済手段があります。クレジットカードや Pay Pal を使ってオンラインショッピングをするのはもはや当たり前となりました。これは20年前には考えられなかったことです。
しかし、これらの決済手段は金融機関の仲介が必要となるため、利用手数料が割高となってしまいます。たとえば、銀行を通して海外にドルを送金する場合、円をいったんドルに換えてから送金しなければいけません。その手数料は非常に高く、かつ送金のために1週間もの時間がかかってしまいます。
そのような問題を解決するために、ビットコインはブロックチェーン技術を使うことによって、金融機関を挟まずに決済することを可能にしました。そのため、手数料が安く、瞬時に決済できる仕組みができたのです。
ビットコインの技術や使い方については以下の動画が参考になります。22分と長いのですが、ビットコインの概要について知ることができますよ。
ビットコインは動画でも紹介されているように、決済手段として普及しており、日本でも支払い可能な店舗が急速に増えてきています。このビットコインの技術は「サトシ・ナカモト」という匿名の人物がインターネット上に投稿した論文に基づいています。興味のある方は原文『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』をどうぞ!
今では銀行をはじめ、様々な金融機関、IT企業、ファインテック企業がこのブロックチェーン技術の研究開発に力を入れています。
ビットコインの強み
ビットコインの強みは大きく分けて5つあります。
- 改ざんできない
- 通貨の発行量が決まっている
- 中央管理者がいない
- インフレに強い
- 手数料が安い
改ざんできない
ブロックチェーン技術は改ざんすることができません。詳しい説明は省きますが、ブロックチェーン技術によって6000以上のノード(管理者)で分散してデータを管理しているため、改ざんができない仕組みとなっています。
理論上は全世界に6000以上あるノードのうち半分を同時に改ざんすることができれば、不正を行うことは可能です(51%攻撃)。これは超高性能コンピュータを何百台も使って、優秀なハッカーを集め、何百億という資金をかけると可能かもしれません。しかし、それだけの資金力とコンピュータを備えているのであれば、マイニングに参加した方が利益が出ます。
また、たとえ改ざんできたとしてもビットコインの構造自体が改ざんによって価値を失うため、ただ膨大な資金をかけて無価値となったコインを手に入れるだけとなります。ビットコインは構造上、ハッカーにとっても不正を行うと不利益となるように作られているのです。
実際にビットコインは2009年誕生から一度もデータの不正や改ざんが起こっていないのです。
通貨の発行量が決まっている
ビットコインは発行量が2100万枚と決まっています。そのため、埋蔵量が決まっている金のように希少性が高いのです。
実際にビットコインは金と比較されることが多く、値動きも金と似た動きをします。株価が暴落したり、政治情勢が不安定なると金が買われるように、ビットコインも市場が不安定なときに買われています。
中央管理者がいない
銀行や金融機関などの中央管理者は、倒産のリスクが付いて回ります。近年、低金利による収益低下とフィンテックの普及によって銀行の収益力は大きく低下しています。銀行にお金を預けていれば安心と考える人も多いのですが、実際には三菱UFJ銀行などのメガバンクでさえ、「約1万人削減」を行っているのです。(参考:ITmediaビジネスオンライン)
また、中央管理者はセキュリティーに莫大な費用をかけています。それは、管理者自身がハッカーの攻撃から顧客の資産を守る為です。現在は、北朝鮮など国家ぐるみでハッキングを行い、資産を奪う組織まであります。
ビットコインは中央管理者がいません。みんなで分散してデータを管理しているため、管理に膨大な費用をかけたり、倒産のリスクもないのです。また、データの管理自体にマイニング報酬というメリットがあるため、データ管理者の数も年々増えてより強固なセキュリティーとなっています。
インフレに強い
円やドルなどの法定通貨は国(中央銀行)が管理しています。そのため、国家権力によっていくらでも増刷することができます。近年、徐々に物価が高くなっていることを実感しませんか?日銀は現在でも膨大な量の紙幣を刷り続けています。
これは、景気回復や1000兆円を超える借金を返すためにはしょうがないことです。日本の借金を返すためには、どんどんお金を刷って刷って刷りまくるのが早いですからね。
もちろんこのようなことをするとインフレが起こり、紙幣の価値は下がって物価は高くなります。インフレが起こると貯金額は変わらないのに、物価の上昇によって資産が目減りするという現象が起こるのです。(むしろすでに起こっていますが(笑))
ビットコインは通貨の発行量が決まっているので、このようなインフレは起こりません。そのため、ハイパーインフレが起こったジンバブエのような国ではビットコインの人気が高くなっています。
手数料が安い
以前は手数料が安くて便利なビットコインだったのですが、2017年10月現在は価格が高騰しすぎて、手数料が銀行送金と変わらないくらいになっています。
今後、手数料が下がるようになるという話もありますが、どうなるかわかりません。現在では手数料についてはそれほど大きなメリットではありません。
ビットコインの普及状況
日本では日本円の国際的な信用が高いため、安全資産としてのビットコインのメリットはあまりないと言われています。ビットコインは自国の通貨が信用できない発展途上国や中国などで人気が高く、以前はそうした国々での需要が見込まれていました。
しかし、近年はビットコインの値上がりに目を付けた個人投資家や機関投資家の参入が始まり、ビットコインは日本や韓国で人気が高まっています。
ビットコインを決済できる店舗も急激に増え、不動産やネットショッピングとしてもビットコインを使うことができます。
ビットコインの弱み
ビットコインの弱みは4つあります。
- 仕組みが難しい
- 法定通貨よりも不便
- 値動きが激しい
- 犯罪に使われることがある
仕組みが難しい
正直、ビットコインの仕組みは難し過ぎて、技術者じゃない限り完全な理解なんてできていないと思います。私も概要はわかるのですが、細かい仕組みや技術については説明できません(笑)。
この仕組みの難しさは、ビットコインを利用する際の妨げになります。現在は、投機目的でビットコインが買われており、本当に仕組みを理解している人はほとんどいないのではないかと思います。
また、今後もビットコインの技術を一般人が理解するは難しいと思います。ですから、実社会でビットコインの技術であるブロックチェーン技術が使われて浸透すことによってビットコインの信頼性は高まってくるのではないかと思います。
法定通貨よりも不便
実際にビットコインを決済手段として利用する場合、日常生活ではかなり不便ではないでしょうか?秘密キーの管理やパソコンにある程度詳しい必要がありますし、日常生活においては法定通貨の方が便利です。
ビットコインの長所は海外への送金のしやすさと送金速度の速さくらいです。また、今後は大きな資金の決済にはビットコインが便利と言われており、6億円の不動産がビットコイン決済で売られていたりもします。
日常生活においては今後もビットコイン決済が法定通貨に変わることはないと思います。しかし、より便利な機能を持った仮想通貨が登場すると法定通貨を使用する機会も減ってくるかもしれませんね。
値動きが激しい
ビットコインの値動きの激しさはすごいものがあります。長い目で見ると上昇を続けているビットコインですが、1日で20%下落したり、30%上昇することもあります。この値動きの激しさから、多くの人がビットコインで億単位の収益を得ました。
そのような人は『億り人』と呼ばれていますが、日本で360人以上いると言われています(2017年10月)。
現在のところ、値動きの激しいビットコインですが、価格は上昇し続けているため、持ち続ければ利益が出る人がほとんどです。今後は機関投資家の参入によってさらなる価格の向上が期待されていますが、値動きの大きい投機的側面が大きいです。
犯罪に使われることがある
世界の政府機関の中には仮想通貨取引に否定的なところもあります。その理由はビットコインがマネーロンダリングに使われる可能があるからです。
特に2016年以前はビットコインの匿名性の高さにより、麻薬密売組織や犯罪組織のマネーロンダリングにビットコインが使われていたと言われています。
しかし、2017年より国も規制を強化し、取引所に身分証明を徹底したり、規制を設けることでビットコインは身元を明らかにできるようになりました。
たとえば、取引所がハッキングされてビットコインが盗まれたという事件が発生したことがありますが、それを盗んだ人は、現金化する手段がないということになります。現金化した瞬間に身元が明らかになってしまうからです。
ビットコインこれまでの価格推移

チャートを見るとまさにバブルです。特に2017年に入ってからは驚異的な上昇を見せています。ビットコインは定期的に高騰と暴落を繰り返していますが、このような状態が続くとは限りません。
一方で仮想通貨市場の時価総額は20兆円ほどで、よく比較される金の時価総額約900兆円と比較しても小さくなっています。現在は仮想通貨市場の資金の50%をビットコインが持っていますが、今後はアルトコインの方へ資金が流れていくことも考えられます。
どちらにせよビットコインの価格の推移はバブルと類似していますが、あまりに新しい技術であるため、価値を図ることができないのが現状です。ITバブル時のNASDQ全体の時価総額は約750兆円と言われており、それと比べると仮想通貨の価格推移はまだまだ序章にすぎないとも言われています。
ビットコインの安全性
ビットコインというとマウントゴックス社の破綻事件が有名ですね。同社のセキュリティーシステムの設計ミスによって、合計85万BTC(当時のレートで約480億円相当)盗まれるという事件が起こった。
この事件によってビットコインは危険だと感じた人は多くいますが、この問題はビットコインのセキュリティー上の問題ではありません。取引所がハッキングされたのであり、ビットコインのセキュリティーの問題ではないのです。
たとえば、銀行にお金を預けていたら銀行強盗によってお金を全部盗まれちゃった!という話です。紙幣の問題ではなく、それを扱う機関のセキュリティーが甘かったのですね。
しかしながら、このような問題は常に起こる可能性があります。あなたが取引所にビットコインを預けても、それが盗まれる可能性があるのです。
ビットコインの将来性
ビットコインの基礎となっているブロックチェーンシステムは、フィンテックにおけるテクノロジーでは最大の発明であるとも言われています。
今後はこの技術を銀行や金融機関が取り入れることによって、より早くて安い決済が可能となっていきます。その点で、現在のビットコインの強みである決済にかかる手数料の安さという強みは失われていくと思います。
その代わり、ビットコインは強固なセキュリティーやインフレ対策が強みとなって資産保護としての価値が高まるのではないかと考えています。特に経済が混乱した国では、資産を分散する目的で富裕層がビットコインを購入しています。
この傾向は今後も続き、ビットコインは決済手段というよりも資産保護の点で使用されるのではないでしょうか。すでに金を保有している投資家が、金からビットコインへと資産を移す動きもみられています。
2017年は仮想通貨元年と言われています。仮想通貨の市場規模を見ても、ビットコインの成長はこれからと言えるでしょう。