日本の財政破綻についてはもはや杞憂とは言えない状況です。膨れ上がる政府債務は日銀の金融緩和による低金利政策によってなんとか抑え込んでいますが、このまま金利が上昇すれば日本政府の借金は雪だるま式に大きくなっていきます。そして、金融緩和を永遠に続けることは不可能ですので、いつか金利が急騰する時が来ます。
そのとき、日銀は債務超過に陥り、政府の財政赤字の増大や円の暴落は免れません。日本の財政破綻について興味がある方は以下の記事を参考にどうぞ。

さらに現在(2018年)は日本だけでなく世界経済全体が危機的な状況です。アメリカや欧州の借金、トルコ・リラ、アルゼンチン・ペソ、ブラジル・レアル、インド・ルピーをはじめとする通貨危機、中国とアメリカの貿易戦争やドイツ銀行問題など上げればきりがありません。
これらのうちの一つが崩壊すると、世界経済はドミノ式に倒れていきます。その影響は日本財政にもつながります。リーマンショックの時もそうでしたが、世界経済はすでに複雑に絡み合っているので、一つが崩れると他も崩れていくのです。
たとえば、東京都より経済規模の小さいトルコの通貨危機は世界恐慌につながる可能性があります。トルコにお金を貸しているのはスペインやドイツなどヨーロッパの銀行です。もしトルコ経済が破綻するとヨーロッパ全体の金融危機につながり、それがアメリカや日本に波及してきます。
このように世界経済は一国の危機が全世界へ波及する不安定さをもっています。そのため、私たち一般市民もリスクをしっかりと把握し、財政破綻に備える必要があります。今回は財政破綻に備えるための方法を紹介します。
財政破綻へ備える6つの方法

財政破綻時には金利上昇や円の暴落(円安)、急激なインフレなどさまざまな金融危機が起こります。それらの危機に対応する方法は6つあります。
- 外貨(ドル)を貯金する
- 仮想通貨を保有する
- 金を保有する
- 国債や日本株ショート(空売り)でリスクヘッジする
- 固定金利で長期ローンを組む
- 自分自身のスキルを高める
最も簡単にできるのは外貨建て貯金や仮想通貨の保有です。資金に余裕がある人は金の保有もありですし、専門知識がある人は国債や日本株のショートという選択肢もあります。。
外貨(ドル)を貯金する

最も堅実で確実なのはドル建て貯金です。1990年代にソ連(ロシア)破綻したときも、混乱の中でしっかりと資産を守り抜いた人がいました。この人たちは、自国の破綻を察知し、混乱が始まる前から外貨建の資産を入手したり、あるいは資産を海外に移していました。
そして、経済混乱が落ち着いたあとで外貨建て資産をロシア通貨ルーブルに戻し、投げ売りされ割安になっていた不動産などの資産を買い込んだのです。
日本円でイメージするとこんな感じです。
1ドル=100円のときに100万円分(10,000ドル)の米ドル貯金
⇒財政危機による円安で1ドル=200円に
10,000ドルを日本円に戻すと200万円になる
似たような例として、1920年代初頭のドイツにおけるハイパーインフレの際などにも起こりました。これらの例を見る限り、日本の財政破綻でも、外貨建の資産を使う方法は十分検討に値する方法だと考えられます。
ただし、注意点として日本の銀行で外貨貯金をするのはおすすめしません。大手銀行がすすめてくる外貨預金は効率よく手数料を取るためのぼったくり商品です。手数料が高すぎて貯金なのに原資が目減りしていくという恐ろしい商品です。さらにもし貯金封鎖が起こったときは国内の銀行では引き出しができませんし、国内の海外銀行支店でも引き出せません。
最も良いのは外国で銀行口座を開いて外貨を貯金することです。貯金の一部を海外資産することはすごく大切です。しかし、最近は海外へ資産を移す富裕層が増えてきているため、海外銀行口座開設はかなり困難です。日本政府は資産の海外逃避を必死に抑えようとしているようです。
仮想通貨を保有する

仮想通貨を投機的な金融商品と見る人もいますが、ギリシャやイタリアの経済危機の際はビットコインが多く買われて価格が上昇しました。ベネズエラでハイパーインフレが起きた際も通貨ボリバル・フエルテは記録的速度でビットコインに交換されました。
このように仮想通貨は有事の際に買われることから「有事のビットコイン」とも呼ばれています。以前は有事の金が有名だったのですが、金は現金化に時間がかかるため通貨として価値の交換ができる仮想通貨に資産逃避が起こったのです。
通常、日本円や米ドルをはじめ世界の通貨はその国の中央銀行によって発行することができます。つまり、自国の通貨を大量に刷ることでお金を市場に流し込むことができるのです。お金を流し込むことで景気が回復するなど良いこともありますが、これが行き過ぎると紙幣の価値が下がってインフレを起こしてしまいます。
仮想通貨は発行量があらかじめ決められており、大量に刷ることができません。そのため、自国の通貨の価値が下がると不安を持つ人が購入しています。仮想通貨取引は2018年、大手証券会社のSBIホールディングやヤフー、GMOなど大手の参入が相次いでいます。大手が参入を決めているということは今後も伸びていくことが予想されます。
私は仮想通貨の中でもXRP(リップル)に投資しています。XRPは将来的に価格が暴騰すると予想している専門家も多く、これから100倍になる可能性もあると思っています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

金を保有する

円は日本が破綻すれば価値はなくなりますが、金(ゴールド)や金貨であればどの国でも価値があります。金の価格は2011年から横ばいとなり投資としての魅力は落ちています。資産逃避も金から仮想通貨に移っています。
しかし、リーマンショック以来の世界恐慌が起きれば金はやはり防衛資産としての有力な逃避先となります。
また、金保有のデメリットとしては保有しても利子がつかないため、外貨貯金などと比べると資産を守るという意味合いが強くなります。
国債や日本株をショート(空売り)してリスクヘッジする

空売りとは、自分では持っていない株や国債を証券会社から借りることで、「持っていない株や国債を売る」ことです。借りたものは当然返さなければいけませんから、値段が下がった頃を見計らって買い戻して返します。つまり、価格が下がることを期待して行う取引です。価格が下がれば下がるほど儲かる投資ですね。
日本国債については過去にも大手ヘッジファンドが巨額の空売りを仕掛けてきています。その都度、日銀が買い支えることで暴落を阻止していますがヘッジファンドの力が増し、さらにレバレッジをかけて攻撃されると国債価格が暴落する可能性があります。
その際に国債や日本株をショート(空売り)していれば便乗して儲かるでしょう。しかし、空売りは投資初心者が行うにはリスクが高く、日本に売りを入れることに心理的な抵抗がある方もいるでしょう。
投資はロング(買い)だけでなくショート(売り)で入ることができると恐慌時も安定して稼ぐことができます。プロの投資家として覚悟を持って投資に取り組む方はショート戦略も必要です。兼業投資家として投資に取り組みたいという方にはおすすめしませんよ。
固定金利で長期ローンを組む

日本は現在かつてない低金利時代です。住宅ローンの金利が1%を下回るのですから、借りれるだけ借りても良いとすら思えます。
たとえば、3,000万円の住宅ローン借り入れを行ったあとに日本が財政破綻して急激にインフレに見舞われたとします。物価は10倍になり、給料も10倍になりますが借金は3,000万円のままなのです。給料が10倍になったら借金なんてすぐに完済できるでしょう。
ただし、ポイントは固定金利で借りるということです。変動金利の場合は金利も高騰して物価や給料が上がる前に支払いが滞ってしまう可能性があります。銀行の中には変動金利を勧めてくるところもありますが、日本がこのような危機的な状況の時は固定金利一択です。
また、たとえば極端な話、金利が1%ということは借りたお金を金利5%で運用することができると元がとれます。金利が安く、今後インフレが起こる可能性が高い時代には固定金利で借金をするのもありなのです。
そもそも財政破綻時には資産も吹き飛びますが、借金も吹き飛ぶのです。
もちろん借金を積極的におすすめするわけではありませんが、住宅などでローンを組む必要がある場合は手持ちの資金は資産運用にまわして借りれるだけ借りるという手もあるのです。
自分自身のスキルを高める

財政破綻時には給料が国や自治体の財源に依存している仕事が大きなダメージを受けます。公務員は給料がカットされ、物価上昇によって苦しい生活に陥ります。さらに様々な企業が倒産の憂き目に合います。
そのようなリスクを避けるためには自分自身のスキルを高めたり、収入の窓口を増やしておく必要があります。
たとえば海外でも働けるように英会話の勉強をしたり、Webやプログラミングの知識を身につけるなど、海外でも通用するスキルを持っていれば移住してもどこでも食べていけます。今のうちからグローバルに対応できるスキルを自己投資して身につけておいた方が良いと思ってます。
また、収入源を分散するのも効果的です。私の場合は会社経営の他にも市町村からの講師収入や投資収入など様々な収入源を確保しています。
最近は農業や漁業など自給自足で食べていけるような環境を作っておくのも有効だと考えています。自分で食べ物を確保できれば生活していけますからね。
何が起こっても自分のスキルで生きていく力を身に着けることは、最も大切なことかもしれませんね。
財政破綻後に億万長者になった人々の行動

世界の国々には財政破綻を予見して備え、破綻後に資産を増やした人もいます。
ソ連(ロシア)が財政破綻した際、ハイパーインフレによって通貨ルーブルの価値は200分の1に下落しました。多くの国民が資産を失いましたが、そのような金融危機の中でも、実は資産を減らすどころか大きく増やした人たちがいるのです。
それは、財政破綻する前に自分の資産の大半を外貨にして海外に移していて、崩壊後にルーブルが底値をつけたときに外貨からルーブルに戻した人たちです。そして、そのルーブルを使って底値でロシアの不動産を買ったのです。
国の混乱期には当然不動産価格は下落しますが、それを乗り超えれば不動産価格は上昇します。この人たちはニューリッチと呼ばれ、現在はかなりの資産家になっているのです。
財政破綻後に底値で円に戻す
日本が財政破綻したり大きな危機が訪れた場合、ハイパーインフレが起きて円は暴落します。その前に資産を米ドルや仮想通貨などの外貨にしていれば、その資産の価値を維持することができます。
そして、円が底値になった際に外貨や仮想通貨を円に戻して、不動産や株を購入するのです。単に資産を守るだけでなく、自分の持っている資産を大きく増やすことができるわけです。
ただし、外貨貯金は海外の口座を開設しなければあまり意味がありません。日本の銀行で外貨建て貯金をしても国家破綻によって金融機関が倒産した場合は貯金が返ってきません。日本円は1,000万円まで保証されていますが、外貨建ては保証されていませんし、貯金封鎖によってなくなるリスクもあります。
外貨で貯金するのであれば海外口座を開設するのが良いのですが、現在は金融庁の圧力によって海外口座の開設はかなり困難となっています。
私の場合は仮想通貨で資産防衛を行っています。仮想通貨はハイリスク・ハイリターンですが大手企業重参入しており、長い目で見ると成長してく産業です。近年、財政危機を経験した国では、有事の際に仮想通貨への資金流入が起こっています。
このような流れは今後も十分あり得るため、仮想通貨に資産を移すことはすぐにでも実施した方が良いことだと考えています。
財政破綻の可能性を感じるなら準備を怠らない

日本の財政破綻についてはあり得ないという人もいます。私は十分あり得ると思っていますし、海外のヘッジファンドやメディアは日本財政について否定的な意見が多いです。中には「日本国民がなぜそんなに平静でいられるのかわからない」という意見もあります。
少しでも破綻のリスクがあるのであれば、私はそれに対するリスクヘッジをします。事が起こってからでは遅いと思うからです。資産をすべて日本円で持つのは危険ですし、家族を守るためには資産は分散しておくのが安全です。
ただ、財政破綻の危機を感じる人の中でも実際に行動を起こす人は稀です。ほとんどの人は危機だと思いながら行動に移さないでしょう。だからこそ、実際に準備を怠らなかった人と差がつくのだと思います。