資本主義社会の発展は私たちの暮らしを豊かにしてきたでしょうか?資本主義社会とは名前の通り、資本(お金)の力が絶大となる社会です。資本主義社会の中で人はお金を手に入れるために労働し、お金を効率的に使うことでさらなるお金を得ようとしました。自由な資本主義社会では、生産性を高めて多くのお金を持つことが人生の幸福度を左右します。国家でさえもGDP(国民総生産)を高めることを目標にするほどです。資本主義についてはマイナビサイトがわかりやすいですよ。
私は資本主義社会の発展によって、人はある程度?豊かになれたと思っています。衣食住に困るような大変な暮らしから、衣食住に困らない便利な暮らしをすることができるようになったからです。
一方で、お金を稼ぐことで人が幸せになったかと言うとそうではありませんでした。人はお金を増やし、ものを増やすために常に仕事に追われるようになりました。お金を稼ぐことで他人よりも良い家具や車が手に入りました。そして、多くのものを買い、それらを入れるために大きな家が必要になりました。大きな家に似合う高級車を欲しがり、それらを得るために多くの時間を仕事に費やしました。
その結果、自分にとって大切な家族や自然に触れ合う時間を失っていきました。そして、自分にとっての豊かさを忘れ、それほど大切じゃないものを手に入れるために人生の時間を使うようになってしまったのです。
資本主義社会は私たちの生活を便利にしました。多くの不幸を防ぐことができましたが、同じく多くの幸せを見失うことになりました。資本主義は資本の最大化を目指す社会であり、豊かさを目的とした社会ではないからです。そして、資本主義社会が今後30年続いたとき、私たちが住む地球はどうなっているのでしょうか?資本主義の中で地球環境は限界に達しています。私たちが目指すべき社会は『豊かさ』を中心に据えた社会ではないでしょうか?
資本主義の限界
資本主義はイギリスの産業革命後に大きく発展してきました。機械の力によって生産性が高まり、個人も企業もより多くの利益を追求するようになりました。その結果、地球規模の環境破壊や格差の広大、既得権益の独占など様々な問題が出てきました。
- 地球規模の環境破壊
- 格差の広大
- 既得権益の独占
地球規模の環境破壊
企業が利益を追求するためには環境保護など考えてはいられません。競合他社に負けないためには環境に負荷がかかっても、安くて大量の製品を作らなければならないからです。もちろん、長持ちするような電球を作れば売れなくなるので、適度に長持ちなものをつくることを心がけます。その結果、地球温暖化や海洋汚染、水質汚染、大気汚染、森林破壊などあげればキリがないほどの環境汚染が進みました。
しかし、それらの事実さえも資本の力で解決し、環境に負荷をかけている環境団体に寄付をすることで批判を免れてきました。自由な経済活動を認める資本主義では環境破壊を免れることができません。
格差の広大
フランスの経済学者であるトマ・ピケティは『21世紀の資本』で膨大なデータを分析した結果、「資本収益率(r)はつねに経済成長率(g)より大きいという不等式が成り立つ(r>g)」と主張しました。これが有名な資本を使って得た利益(投資で得た利益)は働いて稼ぐ利益よりも大きいという公式です。お金持ちはよりお金持ちになり、貧乏人とお金持ちの格差は広がるばかりということが証明されたのです。
世界では一部のお金持ちが富を独占しています。そして、お金持ちは自分の力でお金持ちになったと確信し、貧乏人が貧乏なのは努力が足りなかったからだと考えます。お金持ちと貧乏人の間には大きな溝ができ、社会の不満は増大していきます。
既得権益の独占
資本主義のような自由な社会では良くも悪くも権力者の力が絶大になります。一度権力を持ってしまうとその力で事実を隠すこともできます。たとえば、地球温暖化の主要な原因は何だと思いますか?多くの人は『石油・石炭などの化石燃料を燃やすことで排出される二酸化炭素の増大によるもの』と考えています。しかし、実際には『牛や豚などを育てるために伐採される森林破壊と家畜が排出するメタンガスによるもの』の方が大きいのです。温暖化の原因となる温室効果ガスのうち18%は畜産業によるものであり、車や飛行機などの全ての輸送機関からの排出量を合わせた数値をも上回ります。
引用:家畜が落とす長い影
このような事実は権力の強い畜産業界が環境保護団体に活動資金を提供することでうやむやにされています。環境保護団体の多くは畜産業を責めることができないのです。このような既得権益の独占は一部の業界に利益をもたらし、その他多くの人に不利益をもたらします。
このような欲望の資本主義をあと30年続けると、地球環境はどうなっているのでしょうか。これから経済が発展してくるインド人やアフリカ人が先進国の人々と同じような食事をとり、自動車を持つと地球は持続不可能なダメージを受けるでしょう。地球環境に負荷をかけることで経済成長することを前提とした資本主義はもはや限界に達しているのです。
豊かさとは何かを見直すとき?
次の時代に私たちは何を大切にするべきでしょうか?私は『自分にとっての豊かさとは何か?』を自分で考える必要があると思っています。あなたにとって豊かさとはどういうことでしょうか?たとえば、私にとって豊かさを感じることは3つあります。
- 学び
- つながり
- 自由
私は新しいものが大好きですが、それは新しい発見や学びがあるからです。私はブログ以外にも旅館業や会社経営をしています。それは様々な人との出会いや経営による学びが楽しく、夢中になれるからです。私にとって夢中に学んでいる瞬間がこの上なく楽しく遊んでいる状態なのです。また、様々な人とつながり、様々な生き方や豊かさを知ることで自分の世界が広がり、より自由になることができます。ですから私にとっての豊かさは『学び、つながり、自由になる』ことなのです。
大切なことは私が豊かさを感じるものが、あなたにとって豊かさを感じるかは別であるということです。あなたにはあなたが豊かさを感じるポイントがあります。試しに、以下の100個の価値観の中から、あなたが好きな言葉を5つ出してみてください。その5つの価値観の中にあなたが豊かさを感じるヒントが隠れているはずです。

この価値観カードは私が大学の講義で使うために作ったものです。そのため、もしかするとあなたにとって大切な価値観はこの中にないこともあります。その場合はこの価値観カードにないものでもオッケーです。
あなたにとっての豊かさが明確になれば、あなたはそれ以外の不要なものに時間をかけることがなくなります。資本主義社会の中では、多くの企業が不必要なものをあなたに売ろうとします。彼らはどうすればあなたが商品を欲しがり、絶対に必要と思うようになるかを知っています。あなたが自分を豊かにするものを知っていなければ、あなたは本当に欲しくもない商品を買わされることになってしまいます。そして、その商品に支払うのはお金ではありません。あなたがそのお金を得るために働いたあなたの命の時間なのです。
あなたにとっての豊かさがはっきりとしていれば、不必要な商品を買うために命の時間を削る必要はなくなるでしょう。
2つの未来
ここに2つの道があります。このまま資本主義を突き詰めた未来と豊かさを突き詰めた未来です。資本主義を突き詰めた未来では経済発展によって私たちはより便利になっているかもしれません。その対価として環境破壊や格差の拡大、権力の暴走による戦争などの弊害が起こることもあり得ます。特に資源の不足による戦争は笑えない未来としてありそうです。
豊かさを突き詰めた未来は多くの人が自分にとって豊かなことを大切にします。それぞれの価値観を大切にするので多様な生き方が許されています。その対価として、経済的な発展はゆっくりとしたペースで進みます。先進国の人たちは発展途上国の環境を破壊して利益を得ることが難しくなります。その結果、今より不便な生活を送るでしょう。
私は資本主義社会が悪いとは思っていません。私たちの便利な生活は資本主義社会によってつくられたからです。一方で、資本主義社会では豊かさを感じられる人が少ないのも事実です。利益を追求することが目的の社会では社会全体で欲望を刺激して消費を促します。人々はよりモノを増やすために働くようになります。欲望の資本主義は満足することを許さないため、自分の豊かさを大切にするのは難しいのです。
あなたにとっての豊かさを見つける
では私たちはこの資本主義社会でどのように暮らせば豊かになれるのでしょうか?私は自己理解を深めることが大切だと考えています。あなたにとっての人生の喜びとは何でしょうか?あなたにとって豊かな状態とはどんな状態でしょうか?「そんなの考えているヒマないよ!!面倒だし!!」という声が聞こえてきそうです。気持ちはわかります。私は今まで多くの失敗を重ねてきました。仕事、家庭、投資も失敗の連続です。
仕事においてはのめり込み過ぎて、家族と過ごす時間もなく毎日イライラしている時期もありました。当時の年収は2,000万円を超えていましたが、心身はボロボロで家族との関係も危機的な状況でした。しかし、私にとって『新しいことを学ぶこと』や『家族とのつながり』こそが大切だと感じるようになってからは大きく変わりました。仕事のペースは減らし、年収は減りましたが何倍も豊かさを感じられるようになりました。
自分にとって大切なものがはっきりとわかってきたため、生活スタイルもシンプルになりました。豊かさを土台に考えるようになったため、衝動買いや余計な人間関係は減り、暮らしがとても楽しくなりました。当時を振り返ると私は高い年収を得て海外旅行に行ったり、一流のものを手に入れなければ幸せになれないと思っていました。正確には資本主義による企業の広告や宣伝に踊らされて、自分自身を見失っていました。本当は必要じゃないものをどうしてもこれがないとダメと思っていたのです。今も多くの人が自分の豊かさを見失い、自分にとって本当は必要でないもののために人生の時間を使っているように思います。
私は自分にとっての豊かさを見つけることこそが資本主義に踊らされずに自分の人生を生きる道だと思っています。願わくば、この記事を最後まで読んでくれたあなたの人生が豊かで素晴らしいものになりますように!