新型コロナウイルスの大流行で投資をはじめる人が増えてきました。はじめて投資にチャレンジしたという20~30代は多いのではないでしょうか?
ところで、投資をはじめたばかりの人が「仮想通貨」や「FX」、さらには「怪しい投資案件」からはじめるというのはどういうことでしょうか⁉
ちまたにはまるで詐欺のような投資案件が流行っています。しかし、歴史が証明している負けない投資は株式インデックス投資です。インデックス投資とは「日経平均株価」や「米国S&P500」など、特定の指数と連動した値動きを目指す投資方法です。
世界一有名な投資家、ウォーレン・バフェットは『妻に残す遺産の9割をS&P500のインデックスファンドで運用する』と話しています。そして、個人投資家に対しても、投資するならインデックス投資を勧めています。
目次
なぜ?インデックス投資は失敗しないの?
ではなぜインデックス投資は失敗しないのでしょうか?これはインデックス投資の仕組みを理解するとわかります。インデックス投資では株価指数に組み込まれている企業の株を丸ごと買います。
たとえば米国には「S&P500」という株式指数があります。これはニューヨーク証券取引所などに上場する代表的な500銘柄の株価をもとに算出されます。つまり、S&P500に連動する投資信託やETF(上場投資信託)に投資する(インデックス投資)というのは、米国の主要500社に投資するようなものなのです。
そのため、インデックス投資では投資銘柄が高度に分散されており、米国経済が伸び続ける間は株価も伸びていくのです。実際に、米国S&P500に連動したインデックス投資を過去20年間行った場合、年率10.1%(円ベース)のリターンがありました。
ただし、注意点もあります。株式投資はバブルと暴落を繰り返します。もし、バブルの頂点で投資した場合は短期的に損失が出ることもあります。
しかし、長期的(10年以上)にみると株価は伸び続けていきます。将来もインデックス投資が過去のように伸びるかどうかは誰にもわかりませんが、失敗しない確率が極めて高い投資と言えます。だからこそ一流投資家の多くがインデックス投資を資産の中心にしてくださいと伝えているのです。
インデックス投資のデメリットは大きく儲からないこと
インデックス投資は長期的にほぼ勝てる投資ですが、逆に大きくは儲からないというデメリットもあります。投資銘柄が高度に分散されているので失敗しない反面、大成功もないのです。
そのため、投資をはじめたばかりの人の中には大成功を求めて仮想通貨やFXにのめり込む人もいます。何もハイリスクな投資が悪いと言っているわけではありません。
仮想通貨やFXでも億万長者となった投資家はいます。そして、その他大勢の失敗して多くの資産や家族まで失った投資家もいます。
大切なことはその投資のリスクを自分がわかったうえで投資しているかということです。どんなに元金が少なくても、ハイリスクな投資は投資の王道ではありません。私は資産の5割を王道のインデックス投資で運用しています。そして2~3割はハイリスクの仮想通貨で運用しています。残りはキャッシュポジションです。
また、ハイリスク投資をしている理由はその分野に興味があるからです。資産の全てをインデックス投資にしてしまうと、投資を学び続ける気持ちがなくなります。逆に仕事が忙しくて投資の勉強をする暇がない方は資産の9割をインデックス投資でも良いでしょう。
インデックス投資は資産の増大を目的とした投資では理論的に1番安定しています。その代わりに大きく儲けたり、投資を学び続ける動機はなくなってしまいます。
インデックス投資で人気のものは?
インデックス投資と言っても様々な種類があります。米国や日本、先進国や新興国をパッケージにしたものやIT企業、不動産業、金融業、高配当企業などそれぞれの分野の企業をパッケージしたものもあります。さらに、同じパッケージでも運用会社によっては手数料に違いが出てきます。
- 全世界株式
- 米国S&P500株式
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日経平均株式
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先進国株式
- 新興国株式
インデックス投資の選び方
インデックス投資には主に投資信託とETF(上場投資信託)があります。どちらも投資信託ですが、大きな違いは上場しているか上場していないか(証券取引所を通じて取引するのかしないのか)の違いがあります。また、手数料はETFの方が安くなっています。
ETF(上場投資信託) | 一般的な投資信託 | |
上場/非上場 | 上場 | 非上場 |
手数料(信託報酬) | 安い | 普通 |
取引場所(窓口) | 証券会社 | 証券会社や銀行 |
取引価格 |
市場価格 |
基準価額 (1日1回算出) |
インデックス投資は『実績があって手数料が安いもの』を選ぶことが大切です。実績があるファンドほど人気があるため売り買いが簡単であり、手数料も安くなるからです。特に手数料の安さは最も重要です。インデックス投資は長期投資が前提となりますので、10年という期間で考えると手数料によって大きな差がつくからです。
手数料を考えると一般的な投資信託よりもETF(上場投資信託)がおすすめです。たとえば、ほとんど同じ銘柄で構成されているインデックス投資でもETFであるVTI(米国3,600銘柄)は手数料0.03%です。一般的な投資信託である楽天・全米株式インデックス・ファンドは0.162%です。手数料で0.132%の違いがあります。
ETFでは世界三大運用会社としてブラックロック社(iシェアーズ)、バンガード社(バンガードETF)、ステートストリート銀行(スパイダー)のETFが最も人気があります。
3社ともに純資産額、手数料(信託報酬)ともに優秀です。中でもバンガード社は手数料を下げることに力を入れており、そこが人気の理由となっています。バンガード社が手数料を下げることで、他の2社が追従して手数料を下げるようになってきています。バンガード社のETFで人気の銘柄はVTI,VOO,VTがあります。
ETFの中ではバンガード社のVTI,VOO,VTが人気
VTIは米国の大・中・小型株3,600社が含まれています。VOO米国の大型株500社が含まれています。VTは新興国も含めた8,400社が含まれています。図にすると以下のイメージになります。

日本では先進国も新興国もすべてカバーできるVTが人気です。VTはこれ一つで世界中の株に分散投資することができます。米国ではVTIが人気です。米国人投資家は国際投資を「米国」+「米国以外」で組むことが多いからです。
VTIとVOOは世界最安手数料のETF
VTIとVOOは世界中で人気が高く、手数料も世界最安ETFです。手数料は純資産額が高いものほど安くなります。運用コストが下がるからです。そのため、手数料の安いETFを購入する場合は結局、ブラックロック社、バンガード社、ステートストリート銀行のどちらかを選ぶことになります。
特にブラックロック社(純資産額約1,054兆円)とバンガード社(純資産額約779.8兆円)は日本No1の野村アセットマネジメント(純資産額約39兆7263億円)と比べても比較にならない規模を誇ります。
VT | VTI | VOO | |
経費率 | 0.08% | 0.03% | 0.03% |
設定来年率リターン | 5.5% | 7.1% | 13.4% |
設定日 | 2008.6 | 2001.5 | 2010.9 |
純資産額 | $24.1B | $269.5B | $251.9B |
構成銘柄数 | 8,400社 | 3,600社 | 500社 |
設定来年率リターンはVOOが13.4%
設定日からの年間平均リターンはVOOが13.4%と高くなっています。これはVOOの設定日がリーマンショック後の2010年とタイミングが良く、さらに米国大型株であるGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)が好調であったためです。
今後もVOOがこれだけのリターンを出せるかは疑問ですが、米国経済が好調なうちは伸びていくでしょう。また、株式投資では先進国が好調な時代と新興国が好調な時代が交互にやってきます。今後は新興国が好調な時代が来て、米国が長期停滞することも考えられます。
私は事業投資や仮想通貨投資などリスクが高い投資も行っていますので、株式投資には安定性を求めてVTIとVTを購入しています。安定性を重視するならVTIやVT、リターンを重視するならVOO、その両方をバランスよく組んでも良いでしょう。
どちらにせよブラックロック社やバンガード社のETFを銀行や証券会社が勧めてくることはありません。彼らは手数料がより高い金融商品を売ってきます。残念なことにブラックロック社やバンガード社も世界的にはブランドが確立されているため、広告を出すこともありません。ですから気が付かない日本人も多いのです。
VTI、VT、VOOを購入するなら楽天証券かSBI証券
VTI、VT、VOOを購入するなら楽天証券かSBI証券です。理由はインターネット証券なので購入手数料が安いからです。これから証券会社に口座を開く方はネット証券がおすすめです。
その中でも規模の大きい楽天証券とSBI証券は、投資委信託の取り扱い本数や購入手数料無料の本数が圧倒的に多く、NISAや確定拠出年金への対応も可能です。
ネット証券会社については以下の記事に書きました。証券会社は口座を開設して取引を行えるようになるまで2~3週間かかります。すぐに株式投資をはじめる予定がなくても、早めに口座開設を行った方が良いですよ。
